TechEd 感想

ずいぶん遅くなりましたが、セッションのいくつかについて感想を以下に。

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(1)64-bit 環境における .NET Framework アプリケーションの開発
 1.64ビットと32ビット環境の連携
  64ビットアプリケーションは、64ビットシステムファイルを直接利用します。32ビットアプリケーションは、
 WOW64を経由して64ビットシステムファイルを利用します。どちらでも安全な実行環境を用意されています。
  ファイルシステムレジストリ、および環境変数はリダイレクトにより32ビット、64ビットのを分離して、
 共存と連携を実現しています。
 2.ターゲットプラットフォーム
  VisualStudio2005では、ターゲットプラットフォームの選択を行うことができます。通常は、「AnyCPU」を
 選択して、任意のCPUで実行可能にします。他には、「x86」「x64」「Itanium」とターゲットのCPUを指定した
 選択も可能です。
 3.コーディング上の留意点
  最大の注意点は、ポインタサイズが32ビットと64ビットで異なる点です。他には、浮動小数点演算で、演算
 結果が同一とは限らない点です。
 4.感想
  サーバー側では、もうすぐ64ビット化ですね。
  Intelのオープンステージでは、来年はサーバーは64ビットしか出荷されないと言ってたらしいけど。
  現実はどうかな。
  クライアント側は、周辺機器とかアンチウィルスソフト(もう出たのかな?)が揃わないとね。後は値段が
  下がれば。

(2)ASP.NET 2.0 新機能 詳細
 1.Web.configの設定を行うGUIツール
  Webサイト管理ツールが追加されました。セキュリティに関する設定、ユーザー、ロールおよび認証方法の一
  元管理がここで行えます。また、アプリケーションに関する様々な構成の設定も行えます。
  これまでは、Web.configを手書きで修正して各種設定値を記述していたのが、GUIツールで行えるようになり
  手間が省け、間違いが減ることにより生産性が上がります。
 2.Webプロジェクトの配置
  開発環境とリモート環境の同期により簡単にWebプロジェクトの配置が行えます。これまでは、開発環境から
  本番環境へはWebSetupプロジェクトを作成して、インストールを行うか、手作業で実行ファイルのコピーを
  行っていましたが、Webプロジェクトの配置機能により、簡単に正確に本番環境への配置が行えます。
 3.インテリセンスの拡張
  HTML,XML記述時にもインテリセンスが表示されます。
 4.マスターページ
  共通のデザインや機能をテンプレート化して一元管理することができます。
 5.サイトナビゲーション
  サイト構成をXML形式で記述すると、表示が行われユーザーがジャンプしたい画面に移動することができま
  す。サイト構成の画面を作成する必要が無く、XMLにて記述するだけでサイトナビゲーションの作成・変更
  ができます。
 6.テーマ&スキン(ページのLook&Feelを柔軟に変更する仕組み)
  テーマ&スキンを予め、サイト内のフォルダに用意しておけば、サイト全体のテーマ変更はWeb.configを変
  更することだけで可能になります。例えば、デモで行っていたのは「春・夏・秋・冬」の背景とボタン色を
  用意しておいて、Web.configを変更するだけで画面切り替えを行っていました。
 7.感想
  平井さんによるセッションでした。Webフォームのセッションは、初めてだそうです。
  小ネタも話しながらの内容でした。
  内容は、昨年のASP.NET2.0(スピーカー近藤さん)もほとんど変わりなし。

(3)ClickOnce による Windows フォーム アプリケーションの展開の新技術
 1.「ClickOnce」とは
  「ClickOnce」とは、Windowsアプリケーションをクライアントに配置する技術です。特長としては、次の点
  になります。
  ・ランタイムファイルのインストールサポート
  ・ローカルディスクへのインストール
   (プログラムメニュー、プログラムの追加と削除へ登録)
  ・オフラインサポート
  ・アプリケーションの自動更新
  この特長が、これまでの「ノータッチ・デプロイメント」と異なる点であり、進化して部分になります。
 2.設定するManifestファイル
  次の2つのファイルの設定が必要
 ・Application Manifest
   アプリケーションの情報を記述します。
 ・Deployment Manifest
   配置の情報を記述します。
 3.セキュリティゾーン
 ・Webから起動する場合は、「インターネット・ゾーン」です。
 ・Webからインストールする場合は、「イントラネット・ゾーン」です。
 ・共有ネットワークからインストールする場合は、「イントラネット・ゾーン」です。
 ・CD-ROMからインストールする場合は、「完全信頼」です。
  このように、インストール形態により、セキュリティゾーンが異なるため注意が必要です。
 4.パーミッションの昇格
  部分信頼アプリケーションに設定することが可能です。そのためには、必要なパーミッション(許可)を設
  定する必要があります。ただし、ユーザーの許可が必要になります。アプリケーションの起動時にダイヤロ
  グが表示され、内容が詳細に表示されてユーザーが許可をする必要があります。また、このダイヤログは、
  内容を変更したり、表示させないように変更することは不可です。
 5.感想
  これも昨年(スピーカーも同じ熱海さん)とほぼ同じでした。
  

(4)Microsoft Office Open XML Formats の概説
  来年後半にリリース予定の「Office12(コードネーム)」で採用される「OPEN XML Formats」についてのセ
 ッションでした。また、Office12リリース時にはサーバー系のOfficeが製品として追加されるとの話がありま
 した。詳細は不明ですが、ASP.NETのサーバー側で利用されるものと思われます。
 1.「OPEN XML Formats」
  「OPEN XML Formats」が目指すものとしては、
  ・汎用データ形式
  ・プラットフォーム非依存
  ・オープン標準
  になります。これらにより、「異なるシステム間での容易なデータ交換」、「データの再利用」、「多目的
  への活用」が行えるようになります。また、XML形式になったことにより「容易に検索可能な情報」になり
  ます。
  また、Office12のXML仕様は、無償で公開されるそうです。
 2.特長
  これ以外にも、Office12の特長としては、安定性(ファイル障害、破損、データの損失を防ぐ)と効率的
  (ZIPの圧縮技術によるサイズの縮小)が増しました。
 3.ファイル形式
  Officeのファイルを保存後に、拡張子をZIPに変更して、解凍するとOfficeのファイルが展開される。ファ
  イル内容は、文書プロパティ、コメント、ユーザ定義スキーマ、グラフ等がXML文書となり独立したファイ
  ルとして存在します。
 4.感想
  「Office12」で、ファイル形式が変わったと言うことは、とても大きな変化です。ファイルの互換が無くな
  ったためです。「Office12」がXMLを採用したことで、さらにXMLを利用したシステムの活用が増大していく
  ことでしょう。XMLがコンピュータ業界の常識になった気がします。
  これは、ちょっと注目しないといけないですね。

(5)Office アプリケーションのビジュアル開発を実現する Visual Studio 2005 Tools for Office 活用
 1.Visual Studio 2005 Tools for Office(VSTO)とは
  Excel、Wordベースのドキュメントを中心としたアプリケーションの開発です。
  ・日常的なツール上に構築されるカスタムアプリケーション
  ・エクスペリエンスの統一による利用者の学習コストの低減
  ・企業の基幹システムと連携するフロントエンドの作成
 2.VSTOプログラミング
  Windowsフォーム用のコントロールを活用することができます。Excelシート上に、TextBox等のコントロー
  ルを追加して、プログラミングで直接利用可能になります。
 3.ビューへのアクセス
  各ビューをプロパティとして持つ「Globals」クラスが追加されました。これまでは、VS2003でExcel等を利
  用する場合は、COMを利用するしかありませんでした。そのため、COMの生成や破棄に気を付ける必要があり、
  さらにどのようなメソッド・プロパティを持つかはインテリセンス上では不明でした。それが、「Globals」
  クラスが追加されたことは、開発者に多大なる恩恵です。
 4.感想
  VSTOのセッションは、はじめて聞きました。興味はあるんですが、なかなかどういった面に利用したら良いか
  わかんないんですよね。
  クライアントにExcel等が必要だったりするんでね。
  自分で使うツールで何か考えたほうがいいのかな。

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全般的に、昨年と同じだったかなと思います。
まあ、事前に沢山の情報がでているので、そんなものですかね。
来年は、Vista関係のが楽しみですね。行けるといいな!
一番おもしろかったのは、INETA Japanの「デスマーチからの脱出」ですね。
PPTが公開されています。